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犬の腎臓病について症状・原因・食事など徹底解説

#健康

腎臓病は犬にとって、ときに死因にもなりかねない重大な疾患のひとつです。

しかし、重大な疾患にも関わらず実際に愛犬が腎臓病になるまでにこの病気について理解して予防法できている飼い主はまだ少なく、「予防したい」、「もしかしたら愛犬が腎臓病かもしれない」と思っていても、食事や運動など、実際に日々の中で適切な対応ができていない飼い主が多いのが実情です。

今回の記事では、愛犬が腎臓病にならないように予防をする目的のほか、実際に愛犬が腎臓病であると診断された方のために、犬の腎臓病について症状・治療法から家庭で与える食事、注意点まで詳しく解説していきます。

犬の腎臓病とは

犬の腎臓病は、尿を作る器官である腎臓の機能に障害が生じてしまう病気です。

腎臓病の原因は大きく3パターンに分かれ、脱水や出血により腎臓への血流が低下すること(腎臓より前の要因)、腎臓の炎症などにより腎機能が低下すること(腎臓自体が要因)、尿路系が閉塞してしまうこと(腎臓より後の要因)があります。腎臓病の犬の血液を検査すると、血中尿素窒素(BUN)、カリウム(K)、血清クレアチニン(Cr)が高い数値を示します。

犬の腎臓病とは

正常な状態の腎臓は、体内の老廃物を血管からろ過し尿として排出する働きをしています。しかし、腎臓が正常に機能していない状態では、老廃物が十分に排出されず、体内に不要な物質がどんどん溜まっていってしまいます。この老廃物が体内に蓄積するにつれ腎不全が進み、血中に溜まった有害物質が全身に回る尿毒症になってしまうと、最終的に命を落とすことにもつながります。

腎臓病は、少しずつ病気が進行し慢性化し、また、腎臓の組織は一度損なわれると元のように戻ることはないため、完治することはありません。目立った症状がなかなか表面化せず、気付いたときにはかなり進行してしまっているケースの多い病気です。

予防と早期発見がとても大切で、腎臓病と診断された犬に対しては食事療法などで病気の進行を抑える処置を行います。

犬の腎臓について

犬の腎臓は、人間と同じく左右1つずつあり、腰よりも少し頭側の位置にあります。大きさの目安は、個体差によりますがその犬の背骨幅の2.5倍〜3.5倍ほどとされています。

腎臓は血液から老廃物を濾し取り尿にする役割を果たしているため、血管の集合体のような臓器になっています。

腎臓の内部はネフロン(腎単位)と呼ばれる、いわゆるフィルター装置が集まった構造で、それぞれのネフロンの中で血液から老廃物を濾し取るろ過作業が行われています。この濾し取った老廃物が尿になります。

犬の腎臓について

このネフロンが炎症を起こしたり、減ってしまったり、また老化によって上手く働かなくなることで腎臓が正常に機能しなくなります。正常な犬のネフロンは約80万個もあります。

犬の腎臓の働き

腎臓病にかかると、犬の体にとって非常に悪い影響が及ぶことはお分かりいただけたと思いますが、改めて実際の腎臓の働きについて詳しく説明します。

犬の腎臓の働き

老廃物の排出

腎臓の大きな働きの1つが老廃物の排出です。腎臓は、コーヒーをフィルターから落とすように血液から不要な水分を含む老廃物をろ過します。

腎臓が体内を巡ってきた血液を1日に何度もろ過することにより、犬の体にとって必要なものだけが残り、不要な老廃物は尿として排出されます。

電解質・水分量の調節

腎臓は、尿をろ過する過程で体内の電解質(ミネラル)や水分量の調節を行っています。 これらがバランスよく整っていると、細胞の浸透圧や、筋肉細胞・神経細胞の働きが正常に保たれます。

酸・アルカリの調節

血中のpHの調節も腎臓が担っている働きです。 弱アルカリ性の血液が酸性側に傾き過ぎると嘔吐や倦怠感が現れます。逆にアルカリ性に傾き過ぎると痙攣やしびれなど、様々な症状を引き起こす原因になります。

ホルモンの分泌

腎臓は、ホルモンの一つである「エリスロポエチン」を分泌しています。エリスロポエチンが骨髄に働きかけることで赤血球が作られます。

もう一つ重要な働きをするのが「レニン」です。レニンは、血液量を増やし血管を収縮することで血圧を上げるホルモンです。 腎臓はホルモンを分泌して血液や血圧を調整することにより、身体のバランスを保ってくれているのです。

ビタミンDの活性化

腎臓は肝臓とともに、食べ物に含まれたビタミンDを活性化する働きもあります。 ビタミンDは、腸内でカルシウムの吸収を助けるので、血中のカルシウム濃度が高まり丈夫な骨作りに役立てられます。

腎臓病と腎不全の違い

腎臓病と腎不全の違い

犬の腎臓病に関連する情報で、腎不全という名称も聞いたことがあるでしょう。
犬の腎臓病と腎不全は何が違うのでしょうか。

腎不全というのは、病気そのものの名前ではなく、腎臓の機能が低下して正常に働かない状態のことをいいます。犬が腎臓病にかかり、病気が進行して腎臓の機能が落ちると、やがて腎不全となってしまいます。

犬の腎臓病は静かに進行することが多く、状態の変化が目に見えづらいため、異変に気付いて獣医師の診察を受けたときには既に腎不全となっていることも少なくありません。したがって、腎臓病=腎不全という印象を持つ方もいるかもしれませんが、厳密には異なります。

慢性腎臓病と急性腎臓病の違い

慢性腎臓病と急性腎臓病の違い

慢性腎臓病に対して、急性腎臓病という名称を聞いたことがあるかもしれません。

しかし、犬の腎臓病が数日の間に急速に進み悪化することはなく、急速に悪化する腎臓の症状は「急性腎不全」または「急性腎障害」が正しい名称となります。

ここでは、慢性腎臓病と急性腎障害について説明します。慢性腎臓病と急性腎障害では様々な点で違いがあります。

慢性腎臓病と急性腎障害の進行スピード

慢性腎臓病と急性腎障害で大きく違うのは、まず症状の進行するスピードです。犬の慢性腎臓病は、数カ月から数年にわたって少しずつ症状が進んでいきます。ゆっくりと体調を崩していくため、元気がない、体重が減った、など加齢による単なる衰えと勘違いすることも多いので注意が必要です。

一方、犬の急性腎障害は、数時間から数日のあいだに症状がどんどん進んでしまいます。意識の低下、排尿障害、痙攣など、激しい症状が数時間の間に現れることも多く、犬の様子がおかしいと感じた場合は急性腎障害を疑い、急いで動物病院で診察を受けましょう。

慢性腎臓病や急性腎障害にかかった犬には、それぞれ以下のような症状が見られます。

犬の慢性腎臓病の症状

  • 水を多く飲む
  • 尿量が増える(尿の色が薄くなる)
  • 食欲が落ちる
  • 体重減少
  • 便秘や下痢
  • 元気がなくなる
  • 口臭がする
  • 毛艶が悪くなる
  • 嘔吐する
  • 痙攣が起きる

腎臓というと尿にばかり意識がいきがちですが、老廃物が上手く排出されない理由から毛艶や口臭にも変化が現れることも頭に入れておくと良いでしょう。

嘔吐や痙攣といった症状は、慢性腎臓病の末期に現れます。できるだけ早い段階で、動物病院に相談するようにしましょう。

犬の急性腎障害の症状

  • 突然様子が変わり元気がなくなる
  • 呼吸が荒くなる
  • 嘔吐する
  • 尿の量が少ない、出なくなる
  • 意識が低下し反応がなくなる
  • 痙攣が起きる

急性腎障害になった犬は、文字通り急激に、早ければ数時間のうちに症状が悪化していきます。命に関わるため、早急に診察を受けるようにしてください。

犬の急性腎障害の症状

慢性腎臓病の原因

犬の慢性腎臓病の原因は、加齢による衰えの他、高血圧、運動不足、肥満などがあり、生活習慣と密接に関連しています。特に高血圧な犬の場合、血管からの圧力によって腎臓内でろ過の働きをするフィルター=ネフロンが損傷し、ダメージが蓄積しやすく慢性腎臓病になりやすいと考えられています。

あるいは、糖尿病などの別の病気が背景にあるケースや、急性腎臓病からの移行ケースもあります。

腎臓病の症状が現れてくるのは腎臓の約半分の機能が損なわれた段階とも言われており、また、時間をかけて失われてしまった腎臓の機能は二度と回復することはありません。

急性腎障害の原因

急性腎障害の原因は様々ですが最も多いのが中毒症状です。よくあるのは、ホウ酸団子の誤食や庭にまいた除草剤付きの草を食べた、など犬にとって毒となる物質を摂取してしまうケースです。

誤食で注意が必要な物としては、人間用の薬やユリ科の植物、ニラや玉ねぎなどがあります。

その他、脱水症状や大量出血、結石や腫瘍が原因の尿路閉塞、最近による感染症なども急性腎臓病の原因となります。

慢性腎臓病が発症しやすい年齢

加齢による影響が大きい慢性腎臓病は、犬が7歳を超えると発症しやすくなり、年齢を重ねるほどに発症率が上がります。

急性腎障害の発症しやすい年齢

急性腎障害は、加齢とは無関係の原因で発症することもあり、発症しやすい年齢というのはありません。強いて言えば、毒物の誤飲や誤食が原因となることも多いため、比較的活発な若い犬がなるケースも多いです。

腎臓病になりやすい犬種

腎臓病は発症の原因にもよりますが、どんな犬種でもかかる可能性のある病気です。ただ、国際獣医腎臓病研究グループで高リスクと指摘されている犬種がありますので、参考までに挙げておきます。

腎臓病になりやすい犬種

  • イングリッシュ・コッカー・スパニエル
  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  • ブル・テリア
  • シャー・ペイ
  • ボクサー
  • ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア

しかし、どんな犬種も加齢の影響は免れません。上記以外の犬種であっても、愛犬の小さな変化を見逃さないよう普段から心掛けておくとよいでしょう。

犬の腎臓病の治療法とは

犬の腎臓病の治療法とは

腎臓病と診断された犬には、一般的に次のような治療が施されます。

慢性腎臓病の治療法

慢性腎臓病の場合、ダメージを受けた組織を回復させる方法はなく、進行を遅らせるための食事療法が治療の柱となります。 動物病院では、高血圧やタンパク尿、嘔吐などの症状がある犬に対しては投薬、脱水の防止やミネラルの調整が必要な犬に対しては注射や点滴が行われます。

ホルモンを補う注射や輸血は、貧血を起こしている犬への治療法です。 設備の整っている病院では透析治療が行われることもあります。

急性腎障害の治療法

急性腎障害の場合は原因が様々であり、それに合わせた治療法が選択されます。結石には手術、感染症には抗生剤の投与といった具合に原因を取り除く処置がなされます。

そのうえで、犬の体内の水分を補い、ミネラルバランスを整えるべく、点滴や注射が行われます。 点滴や注射は犬が摂取してしまった有毒物質を速やかに排泄させるためにも使用されます。

腎臓病に有効な食事とは

腎臓病に有効な食事とは

普段犬が食べているものは、大きく分けて脂質・糖質・タンパク質という栄養素に分けられます。これを「三大栄養素」といいます。生命活動を維持するために必要なこの三大栄養素の中でも、タンパク質だけはエネルギー代謝された後に、尿素窒素を代表とする老廃物を生成します。

愛犬が慢性腎臓病と診断された場合に、飼い主ができる対処の1つが、毎日の食事を病気の体に負担をかけないものへと変更することです。多くの場合、慢性腎臓病の犬には専用の療法食が推奨されます。腎臓病用の療法食は、一般的な食事に比べるとタンパク質やリンの量を控えているのが一般的です。

血液に溶け込んだ窒素は、腎臓のろ過機能で処理されて排出されるため、普段のフードを療法食に替えることで、摂取するタンパク質自体の量を少なくすることで腎臓にかかる負担を抑えてあげる目的があります。

既に機能の低下してしまった腎臓は不要なリンを排出することも難しいので、療養食はリンが犬の体に溜まり過ぎないようフード内のリンの含有量が調整されています。体内にリンが蓄積されてしまうと、腎臓の機能をますます悪化させい悪循環に陥ります。さらに療法食は、血圧に関係するナトリウムやカリウムの量にも配慮されています。

本来であれば、タンパク質・リン・ナトリウム・カリウウムのどれも全て犬の体に欠かせない大事な栄養素なのですが、腎臓の機能の落ちた犬にとっては悪化のリスクを高める成分となってしまうのです。

通常のドッグフードなどから療法食に変えることで、腎臓病の進行スピードをゆるめ、愛犬のQOL(クオリティオブライフ)の維持に努めることができるでしょう。

腎臓病の愛犬に与えるおやつについて

腎臓病の愛犬に与えるおやつについて

愛犬が腎臓病で食事療法を行っている場合、普段健常な犬に食べさせているようなおやつはなるべく避けた方がよいでしょう。

愛犬の楽しみや習慣のためにどうしてもおやつを与えたいのなら、種類や量をよく考えてからにする必要があります。犬によって病気の状態は異なるため、分からないことがあればかかりつけの獣医師に相談してみるのがおすすめです。

基本的には療法食と同じ考え方で、タンパク質・リン・ナトリウム・カリウムの少ないものを選ぶようにします。おやつの中には、腎臓病の犬のために成分が調整された「腎臓ケア」や「腎臓サポート」と記載のある商品も販売されているので、選ぶ目安にするとよいでしょう。

また、これは腎臓病の愛犬に限ったことではないですが、おやつを与えたらそのカロリーの分だけ食事を減らしたり運動をしたり、摂取カロリーの総量を調整することも忘れないようにしてください。

腎臓病の予防法

腎臓病の予防法

愛犬が腎臓病にならないよう、飼い主で行える予防方法はあるのでしょうか。

腎臓病は、犬の加齢に伴って発症率が高まります。これは、日々の習慣が病の元となるためです。運動不足による肥満や食事のバランスなど、日々の中で少しずつ腎臓に蓄積されたダメージが病の原因となります。つまり、適切な食事と睡眠、運動の積み重ねが愛犬の腎臓病の予防になるといえます。

腎臓病に限らず愛犬の健康のために共通した事項ではありますが、普段の食事では塩分を過剰に摂らせないことが大切です。人間が食べるような塩分の高い食品は与えないことはもちろん、普段与えているフードやおやつの成分についても把握しておきましょう。

腎臓病の原因として、高血圧や糖尿病など愛犬の持病が元になる場合があります。愛犬の体調に不安がある場合はかかりつけの獣医師に相談してそれぞれの病に対して適切な処置を行うことが腎臓への負担を減らし、ひいては腎臓病の予防に繋がります。

また、なかなか症状の出ない慢性腎臓病を早期に発見するために、愛犬が元気なうちから定期的な健康診断を受けるのもおすすめです。

腎臓病の愛犬への注意点

腎臓病の愛犬への注意点

腎臓病と診断された愛犬との生活では、どんな点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、食事以外の点について生活の中で気をつけることをお伝えします。

運動や散歩は、愛犬に無理をさせない程度に行うのがおすすめです。元々散歩が好きで愛犬のストレス発散になるようなら、排尿を促すことも兼ねて連れ出すとよいでしょう。筋肉が落ちたり疲れやすくなっていたりして、愛犬の足取りが重いようなら、散歩を強制しないようにします。

愛犬が普段室内で過ごしているのなら、病状に応じて生活環境を見直すことも大切です。筋肉の低下が見られる場合は、足を滑らせやすいフローリングに滑り止めマットやカーペットなどを敷いてあげましょう。

腎臓病から尿毒症にまで進行すると、神経過敏症が出ることがあります。そうなると大きな音で痙攣を起こしてしまうこともあるため、できるだけ静かな環境で愛犬を見守るようにしてください。

まとめ

犬の腎臓病は、ある程度進行するまで症状に気付づきにくい上、完治することができない病気です。

しかし、飼い主が病気の知識を正しく持っておくことで予防や早期発見に繋げることは可能です。また、愛犬が腎臓病と実際に診断された場合においても、より良い判断や行動が取れるでしょう。

愛犬との幸せな暮らしに、このコラムをお役立ていただけると嬉しいです。

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