世界の愛犬事情を大公開！ 〜韓国で人気の珍島犬（ちんとうけん）って知ってる？〜

近年、日本では韓流スターやドラマ、K-POP、コスメなど、さまざまな分野で韓国ブームが巻き起こっています。
しかし、韓国の犬を含めたペット事情については、あまり話題になっていません。
ペットブームである日本で、なぜ韓国の犬は人気が出ないのでしょう。
韓国にも、韓国原産の犬種である珍島犬（ちんとうけん）が存在します。
日本ではあまり聞きなれない犬種ですが、お隣韓国では、古くから人気の高い犬種です。
珍島犬は、日本でいう柴犬や秋田犬のように、メジャーな犬種ですが、国の天然記念物に指定されているため、日本で見かけることはほとんどありません。

韓国で人気の珍島犬 （ちんとうけん）とは？

珍島珍島犬（ちんとうけん）は、韓国原産の中型犬で、韓国では「チンドケ」「チンドッケ」などと発音されます。
「珍島」という名は、朝鮮半島南西部の島のことで、珍島犬はこの島の名が由来とされています。
1937年に島の調査をした動物学者が、天然記念物委員会に報告し、正確に珍島犬と活字化されるようになりました。

珍島犬の詳しい歴史については、未だ明らかになっていませんが、石器時代に人間の狩りの手伝いをしていた狩猟犬であったという説があります。

珍島犬は韓国には欠かせない存在？

珍島犬は、一度絶滅の危機に陥ったことから、1938年に韓国の天然記念物に指定され、国は血統を絶やさぬように「韓国の宝」として大切に扱っています。

また、珍島犬は国の外交で重要な役割を果たした経験があります。2000年に開かれた韓国と北朝鮮の第1回南北首脳会談の際には、韓国の金大中大統領が北朝鮮に珍島犬を贈ったことで有名になりました。

珍島犬の基本データ

珍島犬は、柴犬に似た見た目を持つ中型犬です。
ジャパンケネルクラブでは、「コリア・ジンドー・ドッグ（5G）」として登録されています。

原産国	韓国
体重	オス：18〜23 kg メス：15〜19 kg
体高	オス：50〜55 cm メス：45〜50 cm
カラー	ホワイト、グレー、ブラック アンド タン、フォーン、ブリンドルなど

韓国原産の珍島犬は、立ち耳、つり目、巻き尾と、柴犬に非常に似た外見をしています。
基本のカラーはホワイトで、被毛はダブルコートで年に2回の換毛期があります。
ほどよい筋肉がついており、脚力が強く走る速さや跳躍力の高さも特徴です。

参考：一般社団法人 ジャパンケネルクラブ「コリア・ジンドー・ドッグ」
https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2582

珍島犬の性格

珍島犬の性格は、主に以下の通りです。

• 忠実
• 愛情深い
• 頑固
• 警戒心が強い
• 冷静

飼い主に忠実で深い絆を持っています

珍島犬は、飼い主を「主」と認めれば、非常に忠実で深い愛情を注ぎます。
子犬の頃から、愛情を込めて育てることで得られる深い絆は一生変わることなく、人間の家族同様の愛情に満ちた生活を送ることが可能です。

警戒心が強く番犬にも適しています

珍島犬は、猟犬もしくは番犬として用いられた歴史があるほど、警戒心が強めです。
そのため、飼い主さんに愛情深い一方で、他人には警戒や威嚇をする傾向があります。
珍島犬は勇敢な性格も持ち合わせているため、放っておくと吠え癖などがつきやすいため、注意が必要です。

しつけはしっかりと行う必要があります

珍島犬は、狩猟犬や番犬として活躍していた歴史があるため、警戒心が強く頑固な一面があります。
また、脚力が強く走る速度やジャンプ力も強いため、しっかりとしつけを行わないと、手に負えない問題犬になりかねません。

珍島犬を飼育する際には、しっかりと主従関係を確立するほか、吠え癖や飛びつき癖などがつかないよう、しっかりとしたしつけを行う必要があります。
これらのことから、珍島犬は犬をはじめて飼育する方には、難易度が高めな犬種であるといえます。

珍島犬 を飼う方法

珍島犬は韓国の天然記念物に指定されている貴重な動物ですので簡単に購入できません。
また日本のペットショップやブリーダーからもほぼ購入できないでしょう。

どうしても珍島犬を飼いたい場合には、日本にある韓国珍島犬協会の東京支部に問い合わせるか、直接韓国へ足を運び、韓国の珍島犬のブリーダーと交渉してみましょう。
それでも、すぐに購入できる確率は低いため、購入には根気が必要となります。

珍島犬の飼い方

珍島犬は、室内飼育が一般的です。
珍島犬は飼い主さんとの「絆」を大事にする性格なため、外での飼育ではコミュニケーション不足になってしまいます。

また、珍島犬は運動量を多く必要とするため、散歩は毎日最低でも2回は行い、1回の散歩時間は1時間近く確保できるように心がけましょう。

珍島犬は、ダブルコートなため抜け毛が多く、暑さを苦手とします。
夏場はエアコンなどで温度管理をすることや、毎日のブラッシングは欠かせません。

韓国と日本の犬に対しての意識の違いは？

日本と韓国では、愛玩動物（ペット）についての認識に違いがあります。
日本では、ペットとして飼われる犬の法律として、次の2種類があります。

• 狂犬病予防法
• 動物愛護管理法

動物愛護管理法とは、昭和48年に制定された法律で、動物の愛護と動物の適切な管理（危害や迷惑の防止等）を目的としています。
ただしその内容はというと「ペットを大切にしましょう」というもので、規則や罰則自体は緩いことで知られています。
そのため残念ながら、世界からみて日本の犬を含めたペット事情は後進国と言われています。

一方の韓国では、2022年からペット購入時には飼い主の教育が義務化される方針が発表されました。
また、韓国では犬を含めた愛玩動物を「ペット」と呼ぶことはなく、伴侶動物（パンリョトンムル）と呼び、家族の一員として大切に扱われています。
最近では動物と暮らす人口が1500万人を超えて、飼い犬関連の飼育グッズの市場も拡大中で、日本よりも多くの洋服やおもちゃが販売されています。

ペット先進国はどこの国？

日本がペット後進国と呼ばれるのに対して、ペット先進国には、アメリカやドイツ、スウェーデンなどが該当します。
先進国でペットは、厳しい法律で守られています。
ここでは、先進国のペット事情の一部を紹介します。

【アメリカ】

ペットに対する意識が非常に高い国がアメリカです。
アメリカでは、犬はパートナーという認識があり、屋外飼育はほぼ存在しません。
家庭内でのしつけも徹底しており、人間の子供の様にしっかりとしつけを行います。
そのため、しつけを生業とするドッグトレーナーの職に就いている人も多いです。
また、法律も厳しく定められており、動物を傷つけ（虐待）た場合には、「第二級動物虐待罪」に当たり、これはBクラスの軽犯罪に該当します。
アメリカの犯罪は重い順からA、B、Cの3段階に分けられているため、Bに該当する動物虐待は、重い刑といえるでしょう。

【ドイツ】

ドイツは、ペットが一番過ごしやすい国とも言えるほど、ペットに対する環境が整っています。
一番の違いは、日本やそのほかの国のようにペットショップで生体を陳列販売することが禁じられていることです。
ペットの購入は、ペットショップやブリーダーに事前に予約を取ります。
これにより、悪徳業者による不正な繁殖や破棄を減らすことにつながります。
しつけを厳しく行っていることから、電車などの公共機関や店舗内などに、犬を同伴させて入れる施設が多いことも特徴です。

また、ドイツでは犬の保護条例という法律があり、厳しく管理されています。
犬の保護条例の一部は、以下の通りです。

【飼い主】

• 犬の大きさや犬種によって、ケージやサークルの大きさも詳細に定められている。
• 犬を一人ぼっちにして、長時間留守番させてはいけない。
• 外の気温が、21℃を超える場合は、車内に犬を置き去りにしてはいけない。
• 1日最低2回、計3時間以上、屋外 (運動や社会性を身につける)やドックラン (主に社交性を身につけるため)へ連れていかなければいけない。

【繁殖者】

• 生後8週間未満の子犬は母犬から離してはいけない。 (第2条 第4項)
• 犬の繁殖業者は繁殖に使う成犬10頭までとその子犬しか持ってはいけない。
  そして業者はその教育と知識を身につけていることを役所に証明しなければならない。 (第3条)
• 生後12ケ月までの犬は鎖に繋いで飼ってはいけない。 (第7集第7項1)
• 授乳中の母犬、病気の犬は鎖に繋いではならない。 (第7条第7項2～4)

これらに罰則をすると、罰金や犬の没収などの処置がなされます。

【スウェーデン】

スウェーデンでは、ペットショップは存在せず、全てブリーダーから譲ってもらいます。
何度か訪問して、相性などを確かめてから譲られるため、家族の一員として安心して迎え入れられてます。
また、犬は集団生活を得意とする動物であるため、5時間以上留守番させることは禁止されています。
そのため、スウェーデンには犬を預けることのできる「犬の保育園」があることも大きな特徴です。
また、産まれた際にマイクロチップを埋め込まれ、これが人間でいう身分証代わりになります。
マイクロチップを導入していないと、動物病院での治療やペット保険の加入を断られることもあります。

ほかにも、スウェーデンでは子犬期にしっかりしつけするため、公共機関に飼い主と同乗できます。
犬の権利が尊重されることで、人間の暮らしに溶け込んだ生活ができています。

韓国の愛犬にまつわる法律

近年では韓国の愛犬にまつわる法律も、徐々に整備されつつあります。
2020年1月14日、農林水産畜産部では、「2020年から2024年動物福祉総合計画」を公表しました。
これにより変化する内容は、以下の通りです。

現在

• 虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰
  （2年以下の懲役/2000万ウォン（約189万円）以下の罰金）
• 動物遺棄に対する処罰
  （現行の300万ウォン以下の過料）

2001年以降

• 虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰
  （3年以下の懲役/3000万ウォン以下の罰金）
• 動物遺棄に対する処罰
  （300万ウォン以下の罰金）

現在の韓国では、動物を虐待すると、ペットの所有権が制限されるほか、ペットを購入する際、所定の教育を受けることが義務付けられています。
韓国でも、昔は犬をはじめとしたペットの法律は徹底されておらず、購入者や繁殖者の身勝手な行為により、犬が命を落とすことも少なくありませんでした。
このような事件をなくすべく、法律を改正し、動物愛護の意識を高めることが目標とされています。

韓国の愛犬のトレーニング＆しつけ

韓国の愛犬である珍島犬は、狩猟犬として活躍していたため、勇敢で頑固な一面があります。
また、筋力があり力も強い犬種です。
そのため、しつけをしっかりと行わないと、誰の言うこともきかない迷惑犬になってしまう可能性があります。

珍島犬を飼う場合には、子犬の頃からしっかりとしたしつけが必要です。
珍島犬を飼う際に、最低限覚えさせたいしつけは、主に以下の通りです。

• 主従関係の確立
• 吠え癖をつけない
• 飛びつき癖を付けない
• 待て、お座り、つけは最低限覚えさせる

主従関係をしっかりと確立することで、珍島犬は飼い主の言うことを聞き、ストレスなく生活ができるようになります。
愛犬が主導権を握ってしまうと、飼い主の言うことをきかなくなってしまうため、注意が必要です。

珍島犬は基本的に室内飼育が推奨されていますが、運動も多く必要とする犬種です。
そのため、毎日の散歩やドッグランなどでの運動は欠かせません。
散歩やドッグランでは、ほかの犬や第三者に会う機会も少なくありません。
狩猟犬や番犬として活躍していた珍島犬は、第三者に対して警戒心を抱く一面もあります。
珍島犬が、第三者に対して吠えたり飛び掛かったりしないよう、子犬の頃からしっかりとしつけを行いましょう。
吠え癖や飛びつき癖は、一度ついてしまうと改善するのに長い期間を要します。

また、クールダウンの効果があるお座りや待て、散歩時に愛犬を危険から守るしつけなど、基本的なトレーニングは、珍島犬を飼育するうえで欠かせません。
珍島犬が人間社会で安全に過ごすためにも、飼い主はしっかりとしつけを行う必要があります。
自身でしつけが難しいと感じた場合は、ドッグトレーナーなどプロに相談する方法もおすすめです。

まとめ

• 珍島犬（ちんとうけん）は、韓国原産の中型犬
• 飼育時は室内飼育が基本
• 珍島犬の購入は難しく、購入するには韓国へ足を運ぶ必要がある
• 珍島犬を飼う場合は、しつけをしっかりと行うことが大事

珍島犬は、韓国の宝として天然記念物に指定されている中型犬です。
JKCに認定されたのは、2005年と比較的新しい犬種でもあります。
入手するのは簡単ではありませんが、その魅力から購入する方もいらっしゃいます。
愛情深く育てることで、深い絆を築くことができる珍島犬は、韓国で非常に人気のある犬種です。

今回の世界の愛犬事情では韓国の珍島犬を紹介しました。