世界の愛犬事情を大公開!〜ヨーロッパ・ドイツはペット先進国って本当?〜
#犬種図鑑
世界中でペットとして親しまれている犬は、それぞれの国でどのように愛されているのでしょうか。
今回の世界の愛犬事情では、ヨーロッパで有数のペット先進国で”ペットの楽園”とも呼ばれているドイツを取り上げます。
日本でも知られるドイツ原産の人気犬たちが母国でどのように愛されているか、詳しくご紹介します。
ドイツ原産の犬が好きな方、世界でトップレベルのペット先進国はどのようなものなのか興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。
世界の愛犬事情を大公開!〜ヨーロッパ・ドイツはペット先進国って本当?〜
ドイツは「ペット先進国」「ペットの楽園」などと呼ばれる、ペットに対する意識の高い国のひとつです。
ドイツがペットの楽園と呼ばれる最大の理由は、「殺処分ゼロを実現している」ということです。
ほかにも、ドイツがペット先進国と呼ばれる理由には、犬を散歩させる際にノーリードで良いことや、公共施設や公共機関への同伴可能などが挙げられます。
ドイツの動物愛護の歴史とは
ドイツの動物愛護の歴史は19世紀にさかのぼります。
19世紀にドイツでは、「公然とまたは不快感を生じさせるような仕方」で動物を虐待した場合、軽犯罪に当たるという法律を定めました。
しかし、この法律の目的は動物愛護の観点ではなく、公の場で不快な物を見たくないという人間の感情を保護するものでした。
あのヒトラーが愛犬だったことは有名であり、ナチスは動物愛護に熱心だったそうです。第二次世界大戦後に動物愛護法は何度も改善され、1972年の初頭の法改正では、「この法律は、動物の生命および健康に奉仕するもの」であることが明言されました。
参考:ドイツニースダイジェスト「ドイツと動物の優しい関係」
http://www.newsdigest.de/newsde/features/11516-tierschutz/
ドイツと日本の犬に対しての意識の違いは?
ペット先進国と呼ばれるドイツと、ペット後進国と呼ばれる日本とでは、犬の生活や決まりごとにどのような違いがあるのでしょう。
ここでは、ドイツと日本の犬事情を比較してみました。
行き届いたしつけ
ドイツでは、ノーリードで散歩する犬を多く見かけ、公共交通機関にも乗車できます。
日本では信じがたい光景ですが、ドイツでは日常です。
その理由は、「行き届いたしつけ」によるものです。
ドイツでは、人間の子供にするように、子犬の頃から徹底したしつけをしているで、飼い犬に対して「危険」という認識が薄いことが特徴です。
犬を保護する法律
日本では、犬を飼いたい場合、ペットショップなどですぐに購入できますが、ドイツでは異なります。
犬の飼い方についての説明が時間をかけて行われるほか、飼い主として適正と判断されるまで、犬を迎え入れることはできません。
また、犬の法律も細かく定められており、ケージのサイズや散歩の時間、留守にしてよい時間、リードの長さといった細かい箇所まで、厳しい法律が定められているため、安易な気持ちで犬を迎え入れることはできません。
殺処分の有無
ドイツがペットの楽園と呼ばれる一番の理由は、「殺処分がないこと」です。
日本では、保健所に一定期間預けられたのち、引き取り手がいない場合は殺処分になる流れが一般的です。
一方でドイツでは、「ティア・ハイム」という保護施設が存在します。
ティア・ハイムでは、劣悪な環境にいる動物や手放された動物を保護して、里親募集も行っています。
必要経費は、市民や企業の寄付金によって運営されています。
日本の保健所とは異なり、適正な環境で保護され飼育されることや護期間がないため、殺処分されることもありません。
ドイツの愛犬にまつわる法律
ドイツでは、犬をはじめとしたペットに関する法律が厳しく定められています。
ここでは、ドイツのペットに関する法律の一部を紹介します。
【飼い主】
- 犬の大きさや犬種によって、ケージやサークルの大きさも詳細に定められている。
- 犬を独りぼっちにして、長時間留守番させてはいけない。
- 外気温が、21℃を超える場合は、車内に犬を置き去りにしてはいけない。
- 1日最低2回、計3時間以上、屋外 (運動や社会性を身につけるため)やドックラン (主に社交性を身につけるため)へ連れていかなければいけない。
※これらの法律に違反していると、市民からの通報があり、飼い主は獣医局やアニマルポリスから指導を受けます。
そして違反が続くと罰則があり、正しい飼い方ができないと判断されれば、強制的に犬たちが没収されて施設で保護されます。
【繁殖者】
- 生後8週間未満の子犬は母犬から離してはいけない。(第2条第4項)
- 犬の繁殖業者は繁殖に使う成犬10頭までとその子犬しか持ってはいけない。
そして業者はその教育と知識を身につけていることを役所に証明しなければならない。(第3条) - 生後12ヵ月までの犬は鎖に繋いで飼ってはいけない。(第7集第7項1)
- 授乳中の母犬、病気の犬は鎖に繋いではならない。(第7条第7項2〜4)
- 屋外で飼育する場合は、雨風がしのげ、室温を確保できる保護壁と断熱材を使用し、健康を害することのない素材で作った犬舎であること。
- 鎖の付け根は固定せずに、最低でも6m以上のレールに取り付けて、自由に動けるようにしなくてはならない。(第7条第2項1)
- 室内で飼育する場合は、昼夜のリズムが守れるよう採光のための窓の大きさは室内面積の8分の1と定める。
- 犬の暮らしに必要な最低面積も犬の大きさや犬種によって、詳細に定める。
これらの法律を守らなければ罰則があります。反則では、25,000ユーロ(約295万円)までの罰金が課せられます。
参考:NPO法人ジャパンドッグライツ「ドイツの犬の保護に関する法律」
http://npojdr.org/tierschutz-hundeverordnung/
ドイツでは、犬に関する法律も人間同様厳しく定められています。
飼い主側は、ケージやサークルの大きさ、散歩の義務、留守にして良い時間帯など、細かい決まりが義務付けられており、違反した場合には罰金や犬を没収されることがあります。
また、ブリーダーなど繁殖者側には、生後12カ月までは鎖についないで飼ってはいけない、屋内飼育の場合は、昼夜のリズムが守れるよう窓の大きさの規定など、法律の内容も細かいものが目立ちます。
日本の愛犬にまつわる法律
日本にも、犬をはじめとしたペットに関する法律があります。
その内容は、主に以下の通りです。
- 狂犬病予防注射
- 動物愛護管理法
動物愛護管理法とは、犬を含む動物を虐待する、水やエサを与えずに衰弱させる、破棄をした場合、最高5年以下の懲役または500万円以下の罰金が課せられると言う内容です。
ドイツなど先進国の法律と比べると内容は緩く、残念なことに、日本はペット後進国と呼ばれています。
参考:環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「動物愛護管理法の概要」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/outline.html
ドイツの愛犬のトレーニング&しつけ
ドイツ原産の犬は、ミニチュア・ダックスフンドやポメラニアン、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ドーベルマンなど、日本でもポピュラーな犬種が多く存在します。
ドイツ原産の犬は、狩猟犬や軍用犬として活躍していた犬種も多く、以下のような特徴があります。
【ドイツ原産の犬の特徴】
- 賢い
- 神経質
- 勇敢
- 活発
- 従順
狩猟犬や作業犬として活躍していた犬種の多くは、賢い頭脳を持っており飼い主に従順です。
そのため、しつけに入りやすいのですが神経質で警戒心が強い一面もあり、飼い主さん以外には強気の態度を示すことがあります。
そのため、基本のしつけはもちろんですが、吠え癖や飛びつき癖がつきやすい点に注意が必要です。
吠え癖や飛びつき癖は、一度ついてしまうとしつけ直しが難しいため、子犬の頃から徹底したしつけが重要です。
ドイツ原産の犬種は?特徴も紹介
ドイツ原産の犬には、どのような犬種がいるのでしょうか。
ここでは、ドイツ原産の犬種と、その特徴を紹介します。
【ミニチュア・ダックスフンド】
サイズ:小型犬
種類:愛玩犬
体高:12〜27cm
体重:4〜6kg
特徴:長い胴体に、短い足が特徴のミニチュア・ダックスフンドは、日本でも人気の高い犬種です。
可愛い見た目ですが、狩猟犬として活躍していた歴史もあるため、運動量を多く必要とします。
また、ヘルニアになりやすい傾向もあるため、足腰に負担をかけないようにしてください。
【ポメラニアン】
サイズ:小型犬
種類:愛玩犬
体高:20〜25cm
体重:1〜3kg
特徴:ふわふわの被毛に立ち耳が愛らしいポメラニアンは、日本でも人気の高い犬種です。
ポメラニアンの先祖は、牧羊犬として活躍していましたが、小型に改良され19世紀イギリスのビクトリア嬢王の愛犬になったことから人気が高まりました。
【ミニチュア・ピンシャー】
サイズ:小型犬
種類:愛玩犬、使役犬
体高:25〜32cm
体重:4〜6kg
特徴:陽気で活発な性格で、高いジャンプ力を持っています。
ドーベルマンを小型化したような容姿をしていますが、全く異なる犬種です。
勇敢で負けん気が強い一方で、寂しがり屋で甘えん坊な一面もあります。
お手入れがしやすいため、比較的初心者や集合住宅でも飼いやすい犬種です。
【ミニチュア・シュナウザー】
サイズ:小型犬
種類:愛玩犬
体高:30〜35cm
体重:4〜7kg
特徴:目や口回りの被毛が特徴のミニチュア・シュナウザーは、ドイツでネズミ駆除を得意としてきました。
真面目な気質から、しつけがしやすい犬種です。
ミニチュア・シュナウザーは、規則正しい生活を好むため、毎日決まった時間に食事や散歩をしないと、ストレスを感じてしまいがちです。
【ジャーマン・シェパード・ドッグ】
サイズ:大型犬
種類:警察犬、警備犬、盲導犬
体高:55〜65cm
体重:35〜45kg
特徴:非常に高い知能と忍耐力を持つジャーマン・シェパード・ドッグは、現在も警察犬として活躍しています。
賢いがゆえに、しつけをおこたると手に負えなくなることがあるため、トレーニングは欠かせません。
【ドーベルマン】
サイズ:大型犬
種類:警察犬、作業犬
体高:63〜72cm
体重:32〜40kg
特徴:賢い頭脳と強面の見た目が特徴的なドーベルマンは、警察犬や番犬としても有名です。
しかし、勇猛な容姿に反して甘えん坊な一面もあるため、甘やかしてしまうと手に負えない我がまま犬になってしまうこともあります。
ドーベルマンを飼う際には、徹底したしつけができる環境が必要です。
【ボクサー】
サイズ:大型犬
種類:狩猟犬、作業犬、護衛犬、警備犬
体高:53〜63cm
体重:23〜36kg
特徴:ボクサーは、ブルドッグなどをかけ合わせて作られた犬種です。
狩猟では、強い顎の力で仕留めた獲物を押さえておくのを得意とします。
強靭な力と忠実な性格を活かして、闘犬や軍などでも重宝されてきた歴史があります。
しかしその一方、陽気で甘えん坊、社交的な一面も持ち合わせています。
【グレート・デーン】
サイズ:大型犬
種類:家庭犬、護衛犬
体高:71〜81cm
体重:45〜56kg
特徴:グレート・デーンは、イングリッシュ・マスティフとアイリッシュ・ウルフ・ハウンドをかけ合わせて作られた犬種とされています。
イノシシを狩る猟犬や、軍用犬として活躍しました。
巨大な体型と優美な外見から貴族に愛され、19世紀後半にアメリカに持ち込まれ一気に人気が高まりました。
グレート・デーンは、その大きな体躯で怖がられがちですが、非常に優しく、飼い主に従順な性格であることも魅力です。
ドイツ原産の犬には、日本でもポピュラーな犬種が多く見られました。
ほかにも、ドイツ原産の犬は、小型犬から大型犬まで数多く日本でも人気を高めています。
まとめ
- ドイツはペットの殺処分ゼロを実現している
- ドイツでは行き届いたしつけ、犬を保護する法律、殺処分の有無といった意識が高い
- ドイツの犬に関する法律は、非常に厳しい
- ドイツ原産の犬のしつけは、吠え癖や飛びつき癖にも気を付ける
- ドイツ原産の犬には、ミニチュア・ダックスフンドやポメラニアンなどポピュラーな犬種が多い
ドイツでは、厳しい法律によって、犬を含めたペットが守られています。
その結果、犬は人間社会に溶け込んでおり、本当の子供の様に愛されています。
そして、厳しい法律と国民の協力により、ドイツではペットの殺処分ゼロを実現しました。
日本もドイツを見習い、ペットが過ごしやすい環境になる様、努力が必要です。