犬のトイレのしつけ方とは?分かりやすく解説
#しつけ
犬をお迎えしたら、真っ先に始めるのがトイレのしつけ。愛犬がなかなか覚えてくれず、長い間ずっと苦労している飼い主さんも多いかもしれません。
しかし、本来犬は地面の上で排泄したい生き物。「トイレにして欲しい」というのは、人間の都合に合わせた考えなのです。とはいうものの、トイレのしつけができていなければ、飼い主さんの負担になってしまいますし、人間との共生で欠かせないものでもあります。
そこで今回は、犬のトイレのしつけの重要性、上手なしつけ方法やコツ、トレーニングに役に立つグッズなど、徹底的に解説します!
なぜトイレのしつけが重要?
犬がトイレで排泄をできるようになるには、しつけ・トレーニングが必要です。散歩のときにするから大丈夫、うちは庭先で済ましているから...と思っていると、いざというときに困ったことになるかもしれません。今一度、なぜトイレのしつけをしておくことが重要なのか、確認してみましょう。
排泄ごとの片付けは大変
トイレでない場所におしっこやウンチをされてしまうと、その後の掃除がとても大変です。すべて取りきれなくて、臭いが残ってしまうことも。拭く、消毒するだけで済めばいいのですが、布製のカーペットやソファーの上などを汚されると、専門の業者に頼まなければ臭い・汚れが取れないこともあります。
雨の日や介護の時に役立つ
散歩でしか排泄できなければ、大雨のとき、飼い主さんが病気のときでも、外に連れ出して散歩しなければならなくなってしまいます。
また、いずれ愛犬が歳を取り、要介護となることもあります。もしそうなった場合、外でしか排泄ができない場合、飼い主さんの負担が大きくなってしまいます。
認知症が進み、夜中にトイレにいきたがり外に連れ出す、という話を聞いたことがあります。この状態だと、愛犬自身の負担も大きいでしょう。
避難所ではトイレのしつけ必須
自然災害が増加している今、犬の避難所への同行避難が進められていますが、一方で飼い主さんにもしつけと管理が求められています。
環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」には、避難所で同行避難をするためにいくつか飼い主さんに求められると記載されています。その中には「決められた場所で排泄ができる」という項目があるのです。
さらに、犬が「決められた場所で排泄ができることで、他人への迷惑を防止するとともに、ペット自身のストレスも軽減することができる」とも記載があり、トイレのしつけが社会的にも必要とされています。
トイレのしつけ方:5つのステップ
犬のトイレのしつけ方は、次の5つのステップではじめましょう。人間の子どもと同じで「上手にできた!」という成功体験を積むことで、上手にトイレができるようになっていきます。
①準備、必要なもの
まずはトイレのしつけに必要なグッズを用意し、排泄したくなる環境を整えましょう。
トイレのしつけに必要なグッズ
- サークル
- トイレトレー
- トイレシーツ
サークルとは、四方を柵で囲い、犬の生活空間を作るものです。いわば"犬の個室"。この中にトイレトレーやシーツ、ケージなどを入れていきます。サークルを選ぶ際は、中でくつろげるように犬の体長の3倍が目安です。
また、トイレトレーの大きさは、排泄の際に犬がクルクル回ってもはみ出さないものが目安。具体的には体長の1.5倍〜2倍です。
②トイレシーツを敷く
トイレシーツ=排泄する場所と覚えてもらうために、最初はトイレトレーを使わず、ケージ内にトイレシーツを敷き詰めておきます。犬が排泄をしたらその1枚だけ取り除き、新しいシーツを敷いていきます。
犬はフワフワしたやわらかいものの上におしっこする習性があるので、トイレのしつけが終わるまでは、サークル内に毛布、マット、ベッドなどは置かないようにしましょう。
トイレトレーの上での排泄は最終目標
トイレシーツの上で排泄ができるようになったら徐々にシーツの数を減らしていき、最終的にトイレトレーの上でできるように導いていきます。犬はきれい好きなのでトレーの場所は、食器類から距離をとって設置します。ここまで出来たら、サークル内に毛布、マット、ベッドなどを置いてもOK。
③排泄のタイミングやしぐさをチェック
犬がおしっこ、ウンチをしたそうな素振りをみせたら、サークルの中に連れていきます。その犬によってタイミングやしぐさは異なりますが、まずは多くの犬が行う基本的な行動についてみていきます。さらに、愛犬を観察して、その犬ならではのクセなどもチェックしてください。
排泄のタイミングはいつ?
排泄のタイミングは、以下のものが挙げられます。
- 寝起き
- 水を飲んだ後
- ご飯を食べた後
- 遊び始めたとき
- 遊んだ後
そのほか、興奮したときに排泄する犬もいます。
排泄前のしぐさは?
排泄前によくやるしぐさには以下のようなものがあります。
- 床の匂いを嗅ぐ
- クルクル回る
- 部屋の隅っこをうろうろする
こういった動作は、トイレ前のサインです。見逃さず、愛犬をサークルの中に入れて排泄を促しましょう。
④排泄まで待つ
サークルの中に愛犬を入れたら、排泄が終わるまで待ちます。大きな声など出さず、少し遠くから落ち着いて見守ります。時間がかかることもありますが、気長に待ちましょう。
⑤できたらよく褒める
トイレシーツで排泄できたら、すぐによく褒めてあげましょう。時間を置いてから誉めると、犬は何に褒められたのか分からなくなってしまいます。
次に、ケージから出して自由に遊ばせてあげます。「トイレシーツの上で排泄したら良いことがある」と覚えさせることで、しつけがスムーズにすすみます。
排泄後のおやつもおすすめですが、時間が空いてしまうと何のごほうびか分からなくなってしまうので、おやつをあげたいときは、排泄の直後がおすすめです。もし失敗してしまっても、叱るのはNG。室内での排泄を怖がるようになる可能性があります。
子犬と成犬、トイレのしつけ方の違いは?
犬のトイレのしつけ方は、子犬と成犬をお迎えした場合でそれぞれ異なります。子犬、成犬の特性を知って、上手にトイレのしつけを行いましょう。
子犬の場合
月齢の低い子犬の排泄の間隔は、30分〜1時間程度。成犬に比べかなり短いので、こまめにサークルの中に連れていく必要があります。排泄した時間、どんなときにしたかなどを記録しておくと、いつサークルに連れていくかの目安になります。
愛犬が子犬の時期は、いつでもしっかり行動を見ておいてください。特に、サークルの外に出して自由に遊ばせているときは、排泄のサインを見逃さず、こまめにトイレに連れていく必要があります。
成犬の場合
成犬を迎えた場合、トイレのしつけより、まずは新しい環境に馴染むことを優先しましょう。サークル、ケージなどを用意し、犬がくつろげる環境を準備します。
慣れてきたら、トイレのしつけスタート。サークルを嫌がらないようであればサークル内に、嫌がるようなら人の出入りが少ない静かな場所に大きめのトイレシートを敷きます。
次に排泄のタイミングで、犬をシートに連れていきます。成犬は1日2〜3回程度排泄しますが、子犬と違い、タイミングが決まっている犬がほとんど。見張っていなくても、その時間にトイレに連れていくことで、決まった場所での排泄を覚えていきます。
成犬のトイレのしつけは、今までのその犬の習慣を変えさせることなので、子犬よりも時間がかかるかもしれません。しかし、きちんと教えれば必ずできるようになりますので、気長に取り組んでください。
犬はどれくらいの期間でトイレを覚える?
まず、知っておきたいのは、トイレを覚える期間は犬によって異なること。ここでは目安としてのトイレを覚える期間、早く覚えるコツなど考えてみましょう。
約1〜2ヶ月を目安に気長に教えよう
トイレのしつけが完了する期間は、その犬の性格・犬種、今までの習慣、置かれた環境などによってさまざまです。
おおよその目安としては約1ヶ月。しかし、1週間もせずに覚えてしまう子犬もいれば、3〜4ヶ月経っても覚えない子犬もいるのが現実です。数ヶ月覚えなければ飼い主さんも不安になってしまいますが、人間の子どものトイレとレーンングと同じく、その子の個性なのであまり気にしないようにしましょう。
一方で、何回も失敗を重ねてしまうと、それが習慣になってしまうこともあります。そうならないためにも先に紹介したトイレのしつけのステップや、次に紹介するコツなどを使って、しつけに取り組んでください。
ちょっとしたコツで早く覚えることも
トイレのしつけは、ちょっとしたコツ・工夫で早く覚えることもあります。
- 排泄時に声かけをして促す
- 上手に出来たら誉める
- 排泄の記録をつける
排泄のポーズに入ったときに、「ワンツー」「よしよし」など穏やかに声かけすることで、その声かけによって排泄が促されるようになります。上手に排泄できたら、すぐに誉める子ことも大切。また、排泄の記録をつけることで、犬のトイレのタイミングを知ることができます。
トイレを失敗したときはどうする?
トイレのしつけをはじめたばかりの頃は、犬は必ず失敗します。うまく排泄できる→誉める、失敗したら素早く片付ける、この繰り返しになります。でも、同じ失敗を何度も繰り返す場合、環境や飼い主さんの教え方に問題がある可能性もあります。
同じ失敗を繰り返すときの対処法
愛犬が同じ失敗を繰り返す場合、いろんな原因が考えられます。まずは失敗の原因を探り、対処法を考えてみましょう。
同じところで何回も失敗する場合
その場所をトイレと思っている可能性があります。まずニオイ消しのスプレーなどで消臭をしてみて、それでもダメなら、物を置く、扉を閉める、物で囲うなど、物理的に行けなくする必要があります。
隠れて排泄をしてしまう場合
排泄の失敗後に飼い主さんに叱られた記憶から、見つからないよう隠れて排泄している可能性があります。排泄を失敗しても決して叱らず、淡々とサッと片付けるを繰り返すことが重要です。
わざと排泄をする場合
犬は飼い主さんに構ってもらいたくて、わざと排泄することもあります。排泄後に叱られた経験を「構ってもらった」と勘違いしているのかもしれません。愛犬とお散歩に行く、遊ぶといったことで、コミュニケーションを深めましょう。
トイレのしつけに役立つグッズを紹介
サークル、ケージ、トイレシーツ、トイレマットなどの必須アイテム以外にも、しつけに役立つさまざまなトイレの便利グッズが販売されています。愛犬に合わせて使ってみてはいかがでしょう。
トレーニング用トイレトレー
通常の平たいトイレトレーに対し、トレーニング用のトイレトレーは側面に壁がついていて外におしっこやウンチが漏れることを防いでくれます。また、壁に囲まれることで、犬が安心するといったメリットもあります。トレーニング用トイレトレーは、掃除が大変なので、しつけ完了後はフラットなトレーに買い換えるのがおすすめです。
トイレしつけスプレー
トイレのしつけスプレーは、アンモニア臭など犬の好きな匂いで誘導するタイプや、逆に嫌いな匂いでトイレをさせなくするタイプなどがあります。愛犬の失敗の原因によって、使い分けましょう。また、食糞防止用に、ウンチに苦味のある液体をかけるスプレーなどもあります。
トイレ用芝生
成犬で外で排泄する習慣のある犬には、トイレ用芝生などもおすすめです。外で排泄するのに似た環境を作れるので、排泄を促す効果があります。また、グッズを買わなくても、シートの上に木の葉を置く、ちぎった新聞紙を並べるといったことで、外と似た環境を作ることもできます。
マーキングポール
成犬・男の子のためのトレーニンググッズ。家具の足や壁などにマーキングしてまわる犬におすすめです。ポールにシートを巻き付けるだけの簡単な作りなので、簡単に取り入れられ、片付けも手を汚しません。
マナーバンド
犬のマーキング対策として役に立つのが、マナーベルトです。トイレのしつけ完了前にカフェなどにおでかけするときは、必ずしておきましょう。しつけ完了後も、カフェ、ホテルなどでは必要とされる場所があります。
男の子には腰に巻き付けるタイプ、女の子にはおむつタイプが主流です。紙製の使い捨てタイプ、布製のタイプなど、さまざまなタイプがありますので使い勝手のよいものを選びましょう。
犬のトイレのしつけは、成功体験を積むことがポイント
犬を家にお迎えしたにときに、トイレのしつけを行うことで、犬も飼い主さんも一緒に家で暮らすことがグッと楽になります。また、犬が人間社会で共生するためにも、トイレのしつけは欠かせないものになりつつあります。
愛犬がトイレで排泄をした結果、「飼い主さんから褒められた」「遊んでもらえた」「おやつがもらえた」という嬉しい成功体験を重ねていくことで、トイレで排泄をする行動は繰り返されるようになっていきます。失敗しても叱ったりせず、いろんな方法を試しながら、トイレのしつけ完了まで頑張ってください。