犬の歯磨きの頻度は?グッズや磨き方など解説
#健康
歯磨きは、犬の健康を左右する重要な習慣の一つです。ですが飼い主さんが歯磨きをしてあげようと思っても、どれくらいの頻度で歯磨きすべきか迷ったり、犬が嫌がって逃げてしまったり。愛犬にしっかり歯磨きをしてあげたくても悩むことは少なくありません。
そこで今回は、おすすめの歯磨きの頻度とその方法、さらに歯磨きが楽になるグッズなどを紹介します。愛犬の歯磨きに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
犬の歯磨きの頻度はどれくらい?
人間の世界では、口腔内の健康が全身の健康に大きく関わっていることが知られています。犬もまったく同じ。口腔内の健康が愛犬の全身の健康にも関わるため、歯磨きを定期的に行うことは飼い主さんにとって重要なことです。
それではこの歯磨き、どれくらいの頻度ですればよいのでしょうか?もし、歯磨きをサボるとどうなるのでしょうか?
歯磨きをサボるとどうなる?
歯磨きをサボると歯垢が溜まり、歯石となって歯周病を招くことがあります。さらに悪化すると、愛犬の寿命にも関係します。そもそも人間の口腔内は弱酸性で、犬の口腔内はアルカリ性。そのため、人間の歯は虫歯になりやすく、犬は虫歯になりにくい一方で歯周病になりやすいという特徴があります。
歯周病は、単なる歯肉の病気と思いがちですが、細菌による感染症の一種です。歯周病になると、口臭からはじまり、進行すると歯が抜ける、顎の骨が溶ける・折れるといったことが起こります。さらに、歯周病の細菌が血液を通して体にまわり、臓器に悪影響を与えたり、敗血症となったりすることもあります。
犬の歯磨きは毎日がおすすめ
犬の歯磨きの頻度は、2〜3日に1回、できれば毎日がおすすめです。主な歯周病の原因は、口腔内に歯垢・歯石がたまり、不衛生な環境となることです。歯垢とは歯に付着した細菌の塊で、さらに歯石は歯垢が変化し石灰化したもののこと。歯垢から歯石に変化してしまうと、動物病院などで専用の器具を使ってしか除去ができなくなってしまいます。
歯垢から歯石になる時間は、だいたい48時間前後。そのため、2〜3日に1度の頻度で歯磨きを行うことで、歯垢が歯石になることを防ぐことができます。
歯磨きはなるべく早めにスタート
子犬を飼い始めたときは、なるべく早く歯磨きをスタートしましょう。子犬は3週間ほどで乳歯が生えてきます。乳歯はいずれ永久歯に変わってしまいますが、歯磨きの週間を早いうちにつけておくことで、その後の歯のお手入れがグッと楽になります。
犬の歯磨きの方法、コツを解説
犬は口の中や、その周辺を触られるのが好きではありません。そのため嫌がるのを抑えつけて、無理やり歯磨きをしてしまうと、将来歯磨きをさせてくれなくなる可能性があります。子犬の機嫌がよいときを見計らって、コミュニケーションを取りながらスタートしましょう。次のようなステップで徐々に慣れていき、おやつも与えながら、愛犬にとって楽しい時間になることが理想です。
ステップ1.口元を指で触れるようにする
まず、口元を指で触ります。噛まずに触らせてくれたらおやつをあげ、口の周りを触ることに慣れさせます。もし、噛もうとした場合や興奮した場合は、すぐにやめてください。一挙に進もうとせず、"徐々に"がポイントです。
ステップ2.口の中に手を入れ、歯を触る
口元を触わっても興奮しなくなったら、次は歯に触る練習です。はじめは前歯を軽く触れる程度からスタートします。触らせてくれたら、少しずつ奥歯へ。慣れないうちにいきなり奥歯に触ると、噛み付く可能性があるので、気をつけましょう。すべての歯をなぞれるようになったら、次のステップに進みます。
ステップ3.歯磨きシートで歯の表面を拭く
スティック状の歯ブラシを怖がる犬が多いので、初めは歯磨きシートで練習しましょう。指で触った時と同じように、前歯から奥歯へ進んでいきます。一度にすべて行おうとせず、今日は前歯、翌日は横の歯など、愛犬が嫌がらない範囲で歯の表面を拭いていきます。
ステップ4. 歯ブラシを口の中に入れて磨く
いよいよ本格的な歯磨きに進みます。歯ブラシは、「子犬用」を用意しましょう。
- 前歯を磨く
- 嫌がらないなら奥歯へ
- 顎を開けさせて、歯の内側を磨く
ここでも少しずつがポイント。愛犬が嫌がるようなら、前歯だけ、上の歯だけなどでもOKです。一部でもできたら、おやつをあげてたくさん褒めてあげてください。
目標は永久歯が生えそろうまでに歯磨きに慣れること
歯磨きは乳歯が生えてきた3週間ごろからトレーニングをスタートし、永久歯が生えそろう7ヶ月〜8ヶ月頃までにできるようになれば大丈夫です。叱ったりせず、スキンシップを大切にしながら、気長に取り組んでみてください。
犬の歯ブラシの選び方と種類
歯磨きに欠かせない歯ブラシ。歯ブラシの選び方一つで歯磨きの効果も変わってきます。そのため、歯ブラシ選びは意外に重要です。
しかし、ペットショップなどに行くと、犬用歯ブラシとしていろいろなタイプが販売されており、選択に困ることもあるでしょう。そこで、ここでは愛犬に合う歯ブラシの選び方、種類などを紹介します。歯ブラシを選ぶときの目安としてください。
歯ブラシの選び方の基本
歯ブラシの選び方は、次の3つが重要です。
- 歯ブラシの大きさ
- 歯ブラシの硬さ
- ヘッドの形状
まず、歯ブラシのヘッドの大きさは、愛犬の前歯の2、3本分の大きさがベストです。もしちょうどよい大きさのものがない場合は、ピンセットなどで毛を抜いて大きさを調整するとよいでしょう。
次に歯ブラシの硬さは、なるべくソフトなものがおすすめです。硬いものは歯肉を傷つける原因となります。
最後に、歯ブラシのヘッドですが、指サックタイプ、スクウェアなタイプ、360度回る丸いタイプなどがあります。それぞれおすすめの使い方を紹介します。
初めての歯ブラシに指サックタイプ、トレーニング歯ブラシ
指サックタイプやトレーニング歯ブラシは、歯磨きの方法ステップ4の最初の段階におすすめの歯ブラシです。ヘッドも柔らかく、指に入れるのと同じ感覚で使えるので、初めて歯ブラシを口に入れる犬でもそれほど異和感なく、受け入れられるでしょう。
指サック歯ブラシ:400円前後
基本の形、スクウェアなヘッドの歯ブラシ
ヘッドがスクウェアにカットしている歯ブラシは、犬の歯ブラシ基本の形です。トレーニング歯ブラシが終わった2本目の歯ブラシとしておすすめです。
下記のタイプは、ヘッドが小さく、小型犬でも毛を抜いたりせずに使うことができます。また、毛先がラウンド、ダブル、超極細の3種類があり、歯肉の状態に合わせてセレクトできます。
ベッツドクタースペック デンタルブラシ:500円前後
歯ブラシが苦手な愛犬にはヘッドが丸い歯ブラシ
犬の歯ブラシには、360度ヘッドが回る丸い歯ブラシがあります。この歯ブラシは、口をめくって奥歯を磨くのが難しい愛犬におすすめです。歯ブラシを口に入れ歯に当てれば、必ずヘッドが当たるため、口をめくる必要はありません。コツは、横に磨かず小刻みに動かすこと。横に移動させると、歯茎を傷つけることがあります。
ビバテック シグワン歯ブラシ:500円前後
グッズの利用で犬の歯磨きをスムーズに
愛犬が歯磨きを受け入れ、習慣化するには時間と手間がかかります。そのため歯磨きをさせてくれない日も出てくるでしょう。そんな時に役立つのが、歯磨きの補助グッズです。歯磨きの変わりとして使えるだけでなく、匂い付きの歯磨き粉など歯ブラシを使った歯磨きが受け入れられやすくするものもあります。
デンタルシート
歯ブラシの前の訓練としてよく使われるのが、デンタルシートです。また、すでに歯周病となり歯肉が弱った犬の歯磨きがわりに使うこともできます。直接口に入れるものなので、飲み込まれにくいサイズで、ノンアルコールなど安全性の高いものを選びましょう。
またシートには、ミルク、柑橘類などのフレーバーがついたものもあるので、愛犬の好みのものをセレクトできます。
らくらく歯磨きシートプレミアム:250円前後
歯磨き粉
犬の歯磨きに歯磨き粉は絶対に必要、というものではありません。しかし歯磨き粉を使うことで、犬にとって有効な成分を摂れる、フレーバーがついていることで愛犬が歯磨きを喜ぶようになる、といったことが期待できます。
犬の歯磨き粉を選ぶ際には、添加物が少なく、プラスαの成分が入ったもの、愛犬の好みのフレーバーのものなどを選ぶとよいでしょう。
ペット用デンタルケアジェル 歯にマヌカ:2310円
歯磨きガム
歯磨きガムは、唾液の分泌を促し、歯垢を落とすという働きがあります。あくまでも歯ブラシによる歯磨きの補助ですが、犬にとってはおやつ感覚で楽しめるというメリットがあります。さまざまな形・味のものが販売されていますので、愛犬の好み、大きさに合ったものを見つけてください。また、アレルギーのある犬の場合、成分表は必ずチェックしてください。歯磨きと併用も可能。
ナチュラルバランス チューイングボーン:1397円。
歯磨きおもちゃ
歯磨き用のおもちゃは、「元気がよくて、毎日の歯磨きが大変...」という飼い主さんにおすすめです。ロープやゴムなどいろいろなタイプがあり、歯垢のケアをしてくれます。愛犬の口のサイズに合ったものを選び、遊びながら歯磨きに慣れていきましょう。
デンタルウォーター
デンタルウォーターは飲み水に混ぜておくだけで、歯垢を浮き上がらせ、取り除きやすい状態にするものです。これだけで歯垢すべてを取り除くことはできませんが、歯磨きの時間を短くするなどの、歯ブラシの補助としての役割を果たせます。愛犬が口にするものなので、こちらも添加物が少ないものがよいでしょう。
ボーダン:3300円
歯磨きのコツ、ポイントは?
歯磨きをする時にちょっとしたコツやポイントを知っておくだけで、さらに上手に磨けるようになります。また、飼い主さんとして、知っておきたい注意点なども解説します。
歯ブラシの動かし方のコツ
歯ブラシにはいろんなタイプがあるものの、使い方のコツはすべて同じ。以下のような方法でやってみてください。
- 歯ブラシは鉛筆握り
- 歯に対して歯ブラシは横向きに
- 動かすときは小刻み
- 奥歯は口をめくって磨く
飼い主さん、愛犬ともに歯磨きに慣れてきたら、歯ブラシを歯と歯茎の間45度に入れて、歯垢を掻き出すように磨いてみましょう。ここまで出来るようになったら、歯磨き上級者です。
人間用歯磨き粉は絶対に使わない
人間用の歯磨き粉を、絶対に愛犬に使ってはいけません。人間用の歯磨き粉には、犬が中毒を起こすキシリトールが含まれているものが多数あります。犬にとってキシリトールは猛毒です。歯磨き粉を使う時は、必ず犬専用のものを使いましょう。
犬が歯磨きを嫌がらない工夫をしよう
本来、犬にとっては歯磨きは怖いこと。無理に押さえつけて磨いたりすると、次から抵抗するようになってしまうかもしれません。愛犬が楽しんで歯磨きに取り組める方法として、以下のようなものがあります。愛犬の様子を見て、愛犬に合った工夫を取り入れてみてください。
- 犬がリラックスしている間に行う
- ヘッドが柔らかい、動きが指に似ているなど刺激の少ない歯ブラシを選ぶ
- 上手にできたときはご褒美(おやつ)をあげる、遊んであげる
動物病院やサロンなども活用しよう
もし、上手に磨けていると感じられないときや、口臭があるときなどは、動物病院やドッグサロンなどを活用してみましょう。
サロンの多くは、オプションで歯磨きのコースを用意しています。トリミングの際に、歯磨きコースを利用するのもおすすめです。また、動物病院では、歯磨きの上手な方法など指導してくれるところもあります。さらに、歯石が溜まってきた時には歯石取りなども行ってくれます。
歯磨きを習慣化し、歯周病を予防しよう
今回は歯磨きの必要性やその頻度、歯磨きグッズの紹介などについて解説しました。歯磨きが必要な最大の理由は、愛犬に元気で長生きしてもらうこと。歯周病になってしまうと、健康状態が悪くなるのはもちろん、歯や顎が折れたりして、生活の質=QOLが下がってしまいます。
愛犬がずっと元気で健康に過ごせるよう、できれば一日1回、難しいようなら2〜3日に1回の頻度で歯磨きを行なって、歯周病を予防しましょう。歯磨きが習慣化するまで大変かもしれませんが、愛犬の健康を守り、維持するためにも、日々の歯磨きは重要です。愛犬に合わせて嫌がらない工夫を取り入れながら、歯磨きを習慣化していきましょう。